空色勾玉
◎ライトノベル版
空色勾玉 (トクマ・ノベルズ EDGE)


狭也は祭壇を指さした。
「あの禍々しい剣をあたしにください。あたしはあれをもって、鳥彦の閉じこめられている鉄の檻うちこわすわ。そしていっしょに、自分の檻もうちこわすつもり。あたしの――おろかな妄想の檻も。そして闇の氏族のところへ帰ります」
たぎつ清流のように力強いものを狭也の声にききとり、稚羽矢は感嘆してそっとつぶやいた。「水の乙女だ」この流れをせきとめるほどのものを彼はもっていない。さかまく水の清新さは狭也の表情にも、まなざしにもあった。稚羽矢の腕に手をおいて、狭也は言った。
「剣をもって、いっしょに出ていきましょう。あなたの檻、あなたを縛めるものも、同じ刃のもとにこわしてしまいたいのよ」(P137より)

◎あらすじ

輝の大御神の双子の御子と、闇の氏族とが烈しく争う戦乱の世に、闇の巫女姫と生まれながら、光を愛する少女狭也。
輝の宮の神殿に縛められ、地底の女神の夢を見ていた、「剣の主」稚羽矢との出会いが、狭也を不思議な運命へと導く・・・
神々が地上を歩いていた古代の日本を舞台に、絢爛豪華に織りあげられた、人気沸騰のファンタジー。

◎感想メモ


この本はわたしが生まれた年に初めて発刊されたものだけど、ちっとも古くなんかないし、逆に新しい。
何が新しいって、

@日本語の美しさを啓蒙したところ
A「恋と成長」という典型的なテーマに「神・古代」という設定をくっつけたところ


この二つだと思う。
この二つの魅力(キャラとかストーリーとかが抜群にいいのはもちろんのことね)が合わさって、
もう、あわわ…!ってなるくらいの面白い本が生まれたと思う訳よ。どうよ。

ここからはまだ読んだこと人にはその魅力が伝わるように、
もう読んだよ!私も好きだよ!って人には共感してもらえるように心がけながら、
気合を入れてわたしの愛する「空色勾玉」について語りたいと思います!





魅力その1:日本語の美しさを再発見

この本は、古代の神話(古事記とかその辺)を下敷きとしているだけあって、文章中の言葉は少し古風です。
だからこそ!美しい!と、改めてしみじみと、感じられるのです。
この魅力に関しては、初めて読んだ中学生のときよりも、少し大人になった今の方がよく感じられる。
この本を大人にもお勧めしたいのは、そういう理由からだったりするんです。

こんな言葉達に、小さい頃から触れられるなんて、なんだかすごく贅沢のように思う。
はるかはるか昔に、こんな事が本当にあったのかもしれない…
想像の翼は、言葉たちに乗せられてすぐに広がります。
どこかで聞いたことのある、太陽や月の神様の話が、ここでは生きたキャラクターとして在って、
その慕わしさ、激しさに泣きたくなるような気持ちになる。
読んでいて湧きあがってくる、この豊かな感情。
これがこの本から得られる、一番大切なものだと思う。いつまでも大事にしていきたいと思う。
毎日の生活の中で、どこかに置いてきてしまった日本人の心が、ここにはあって。
尊さを、清らかさを、読んでいる間はきっと取り戻せているはず。
読み終わった時、この本をずっと大事にしていきたい、と思うはず。
そうしてもう一度読み返す時には、日本語の美しさに改めて気付く!
何度読んでも面白いと思う、「空色勾玉」はとっても奥深い本なのです。



魅力その2:恋と成長+αの『自我の形成』

児童書のテーマとして、「恋」と「成長」は欠かせないものでしょう。逆に言ってしまえば、ありきたり。
けれど、わたしがこの本を新しい(なんと初めて出版されたのは、わたしが生まれた年ですが!)と思うのは、
「神」である稚羽矢が「人」のような感情を学び、「自我」が形成されるところにある。
稚羽矢というキャラクターは、神として不思議な力を持ち、人よりも格段に優れた存在であるのに、
兄や姉からできそこないとされ、半人前以下の扱いを受けていた。
まるで己のことを知らず、自分がナニモノなのかもよく分かっていない。
こんなに不完全で、魅力的なキャラクター、他にはいないよ!?でしょ!?(興奮)
そんな稚羽矢が狭也と出会い、世界を、己を知っていく。
成長なんてもんじゃない!
それは心を作っていく作業で、稚羽矢の真っ直ぐさに学ぶべきところはすごく多いな、と読んでいて思ったもんだわ。
例えば、稚羽矢は「謝る」という行為を知らない。「許す」ことを知らない。
そこで、狭也が必死に、自分にとっては当たり前な「謝る」ということを稚羽矢に一生懸命伝えていく。
狭也にとっても、わたしたち「人」にとっても、至極当たり前なことを稚羽矢と一緒に噛み締めていくことで、
改めて「当たり前」の大切さ―謝ることの大切さ―に気付く。少なくともわたしはすごく、ハッとさせられた。

こんな感じで、自我の形成にまで踏み込むこの本の新しさ、面白さ、はわたしたちに多くのことを
示唆してくれているように感じました。
ほらほら、大人が読んでも面白そうでしょ??


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この本が面白いと思ったら、こっちもきっと面白い(はず)!
白鳥異伝(荻原規子)  薄紅天女(荻原規子)

◎人物紹介


闇の一族

狭也(さや)
ヒロイン。自らの生い立ちを知らず、羽柴の里に捨てられていたところを現在の両親に拾われ、育つ。おてんば。輝の一族に従う里で育った事も手伝って、輝の御子である月代王に憧れを抱いている。里の男からはかわいいと目をつけられているが、本人にその気は全く無い。

鳥彦(とりひこ)
闇の一族の少年。二羽のカラス「黒兄(くろえ)」と「黒弟(くろと)」を連れている。楽人として狭也と出会う。狭也が輝の宮へ移った後も、狭也のそばに現れ心の支えになっていた。お茶目で冒険心が強く、狭也をはらはらさせる。

岩姫(いわひめ)
闇の一族の老巫女。よぼよぼのばーちゃんだが、一族からの信頼は半端なく篤い。それは、彼女が前世からの記憶を持つ巫女であり、闇の一族の導き手であるから。

伊吹王(いぶきのおおきみ)
闇の一族の、体も心もおっきな王様。稚羽矢の剣の師匠となり、不出来な弟子だとからかいながらも、稚羽矢の心を理解する貴重な人物となる。

開都王(あきつのおおきみ)
輝の一族との戦いにおける総司令官的存在。切れ者で、常に冷静な判断を下す。

科戸王(しなどのおおきみ)
闇の一族の若き王様。輝の一族に対し強い憎しみを抱いていることから、稚羽矢にも冷たく当たる。狭也にほのかな恋心を抱いているが、稚羽矢に対する振る舞いから「怖い人」と思われている。狭也に対しては思いやりを持ち不器用ながらもアプローチを仕掛けているが、狭也は全く気付いていない。というか、気付いているのかもしれないけどスルーされている。あれ、こいつが一番不憫なんじゃね?と思う。


輝の一族

照日王(てるひのおおきみ)
輝の一族の第一の姫御子。父である輝の大御神の命を受け、父神降臨の日に向けて、弟の月代王と共に闇に属する各地の土地神や闇の一族を排している。気性は激しく冷徹で、しょっちゅうキレている。月代王とは微妙な関係で、距離を置くのが一番だと思いながらも、仲睦まじい描写もありで、神様の考えてることはよう分からんね、と思う。スーパー美形な姫御子さま。

月代王(つきしろのおおきみ)
輝の一族の第二の御子。闇の一族である「水の乙女」に惹かれて、何度の何度もまほろばの宮へと招き妻としているものの、水の乙女たちはことごとく自害してしまい、その理由が分からずもやもやしている。自害の原因が月代王自身にあるってことを理解出来ていないところも不幸。あれ、こうやって書くとなんか可哀相なお方に思えるから不思議。スーパー美形。

稚羽矢(ちはや)
輝の一族の末の御子。地上に降りたときから姉や兄からできそこないの烙印を押され、その存在を隠されていた。輝の宮の一角に幽閉され、「大蛇の剣」の鎮める巫女として過ごしていた。そこで、鳥彦のため「大蛇の剣」を盗みに来た狭也と出会い、「外」の世界へ連れ出される。長い間幽閉されていたため、純粋無垢で幼く世間知らずで、言われるがままに他人に従ってしまう。これは稚羽矢自身の性格もあるが、自我が形成されていなかったのではないか?とわたしは思う。宮の外に出てからは、様々な人やモノに触れ、少しずつ考えることや意志を持つことになっていく。

◎ミュージカル

2004年の夏に、劇団ひまわりによって空色勾玉はミュージカル化されました。
一枚5000円のチケットで、代官山の小さな劇場で、実はこっそりやってたんですね。
2004年といえば今から五年前…わたしは、ええと、高1かなぁ。
代官山には行けるけど、5000円はそれはまぁ大金で、一回しか観にいけなかったのが今思えば悔やまれるなぁー。
今なら、四回は行けるのに!いや、ちょっと盛りましたすいません。
とにかく、その日のうちに書いた箇条書きの感想が残ってたので、雰囲気は伝わるかと……

・入野自由がかっこいい。ハク!ハク!
・狭也が声綺麗。舞台の上からだとあんまし美人さんじゃないかなと思ったけど上演後見たら顔ちっさ!
・鳥彦役が好評らしいので楽しみにしていたら、カラスかわいいー!!!
・オープニングすごい迫力。
・なんか泣きそうになる。
・一人一人の動きが決まってて、もしかしたら自分のことを見てくれないかもしれない。っていうほど人の影に隠れながらも自分の動きをしっかりこなしていた。すごいと思う。
・多分そういう動きとかあるから、何回観ても面白いと思う。
・明日観に行きたい。
・真人役もカッコイイと思った。
・月代さまもカッコイイと思った。
・狭也をいじめるあの首曲げる二人、すごい役に入っててすごかった。あの声は真似できない。
・照日さまは演技がすごい上手だった。あの怒鳴り声はまさに照日さまだ。
・大蛇の剣がちょっと胡散臭くて残念。
・小鹿の歌が怖かった。心を操る様子が印象的だった。
・楽器の生演奏は、迫るものがあった。
・舞台が思ったよりも小さくて、思ったよりも近かった。
・一列目の人はそうとう最高なんだと思う。
・隣の人が寝てた。
・闇の氏族の踊りが今っぽくってかっこよかった。
・ああやって思いっきり踊ると、地面も揺れるようで(ていうか実際に揺れてた)おお!って感じ。
・伊吹の王がたぶん最高のハマリ役。稚羽矢を宥めるところは感涙だった。
・狭也が死んで稚羽矢が悲しむところも感涙だった。
・みんな、出演者全員でこのお芝居を楽しんで、真剣に取り組んで、真っ直ぐな様子が伝わってきた。
・ぜひCDを出して欲しい。
・出してください。
・原作にはない登場人物とか結構出てきたけど、ぶっちゃけあんまし要らなかった・・・
・あの本をそのまんま舞台にすることは不可能で、結構カットされたシーンもあって残念だった。
・サヤと王様の絡み(花渡すところ)はすごいツボだった!
・花見て微笑んでますからー!
・狭い舞台を工夫して使って、あの紐とか、すごいいいアイディアだと思った。
・最後、カーテンコールがあるかなーと思ったら無かった。残念。
・みんな、声綺麗。
・入野くんが台詞かんでた。
・ドンマイ!
・小鹿(照日さま)のが身ごもった女(ナツメ)を殺すシーンが、すごい怖かった。
・照日さま役が年齢不詳だと思った。
・馬とか、ねずみとか、どうすんのかなーって思ったら上手いことやってた。
・狭也は、髪の毛が長くて、地毛!?て感じだった。超綺麗。
・勾玉高すぎる。
・でもお金があったら三万の、空色の勾玉買ってたかも・・・
・原作読んでないと話がわかんないかも。
・水の乙女と風の若人の背中合わせの踊りはたまらない。

はい、意味わかんないところもちょいちょいあったけど、まぁ興奮は伝わったかなぁと…。
ちなみに、首曲げる二人ってのは司頭たちで、勾玉が高いってのは売店に勾玉が売ってて、それがめちゃ高だったってことね。

◎観にいけなかった人のための…

観にいけなかった人はもうとっても残念だと思うんだけど、その劇を忍ぶよすがが、なんと
ミュージカルのCDが発売されてるんだよね…
お店にはなかなか無いと思うけど(わたしも取り寄せました)、
いやもうこれ買う価値あるよ?オススメどころの話じゃないよ?聞いたら間違いなく買ってよかったって思うよ?
ミュージカルを観た人も観てない人も大満足すること請け合い。もー傑作ですわほんと。


空ノ色ZABADAK

おすすめ平均
stars命の鼓動
stars空色勾玉の世界へ
stars凄かったです!

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劇団ひまわりミュージカル『空色勾玉』のために作られた曲たちが、サウンドトラックの既成の概念を突き抜けたコンセプト・アルバムになった。音楽を手がけた吉良知彦のユニットZABADAKのアルバム『空ノ色』としてリリース決定。レコーディングには同劇の出演者たちも歌・楽器で参加し、劇中で使用された曲はほぼすべて、全17曲を収録している。あの舞台の感動がもう一度よみがえる!


以下、曲目と、感想と、歌詞の一部!少しでも雰囲気が伝わればと思うのだけど…
ほんと、原作ファンの期待を裏切らない出来です(^^)
歌詞がない曲は感想のみ、歌詞が少しでもあれば気に入ったところを引用させてもらってまーす。
空ノ色 このミュージカルのテーマソングをZABADAKが歌ったバージョン。いい声したおっさん(たぶん)たちが熱唱してくれてます。わたしはどっちかっていうと…キャストのみんなが歌ってくれてる方が好きかな!ちゃんと最後にそれも収録されてるのでご安心を(笑)
An Overture 「overture」ってのは「序曲」って意味。歌劇の始まりに流れる音楽のことらしい。そういや「オペラ座の怪人」のあの有名なメロディも、あれも「An overture」って言うみたい。ええと、この曲は変則的な拍子で、とにかく不思議な曲。メロディというか台詞を連ねていく感じ。舞台では出演者の人たちが生演奏でやってた気がする。舞台の始まりの始まり。あの熱が伝わってくるようで、すごくわくわくする。
『わたしは降りていった 死さえかえりみず 暗い暗い 暗黒よりもっと暗い 残酷な闇の中を』
『狭也 狭也 幼い狭也 火が 神殿 火の手が上がる 戦の 憎しみの 火が燃える 影? 鬼?』
月の森 かがいを抜けて、森で自分のあてどなさに涙する場面…そしてこの後月代王が出てきて、ね!歌詞のせつなさと、狭也の声の透明感が半端ない曲。声がすごくきれーで、のびて、気持ちよさそうに歌うなぁ、って感じ。
歌詞もね、『生まれる前に交わした 約束があるみたい 草や木が呼んでいる わたしがわたしを呼んでる』なんてほら!まんま狭也やん!『誰か教えて わたしは何故 ここにいるの』とか、切なすぎるでしょ…。名曲のひとつ。
かがいの夜 タイトル通り、かがいの夜の歌。非常に古代のお祭りっぽい雰囲気で、聞いててわくわくする。いや、古代のお祭りっぽいとか全然知らんけどね(笑)でも、なんていうか、懐かしい感じ。途中のソロは、劇では可憐な乙女が歌ってたけど、CDで聞いたら迫力が半端ないことになっててびびった(笑)
月光 羽柴の村からまほろばに向かうとき…?たぶん曲順的にもそのはず…。穏やかで、幻水(ゲームね)の村で流れてそうな感じ(笑)
波紋 これ出色。たぶん狭也がまほろばで初めて稚羽矢に会うところ、池の主の夢を見てる稚羽矢と会うところで流れてた、の、かな?全然自信ないですごめんなさい(笑)でも…とにかく…すごい。聞けば分かる。つーか聞かなきゃ分からん。メロディーの虜に…ナイナナナイナナイナイナイ…
雨の行方 ううん、切ない感じ…こんな曲はたぶん劇中には流れていなかった、と…
『波の音 重い砂 雨の行方 空近く溶け出す海に いつかもう忘れてた涙の色 ただあなたがいない』
でもあれよね、“ただあなたがいない”って…、クるよね。
Dreaming きました稚羽矢ソング!狭也に夢見を教える歌。でも…なぜ…入野くんが歌わない!?あと劇ではもっとアップテンポでした。
『瞳を閉じたら 心が開きだす 思うだけでいい ここは夢の中 眠りの底では体を脱ぎ捨てて おいでよおいでよ ここは夢の中』
わだつみ 穏やかーな感じ。ううん…まほろばを出て、闇の住みかを目指すらへん…?ほのぼのソング。いんすとぅるめんたる。
風の船 これは、なんの場面だ…?渋い声で、歌詞はなくてメロディーを歌う感じ…?ウウウーとか、アーとか、そんな風に。でも時々歌詞もあるんだよな…説明下手ですみません(笑)不思議ソング。二回目の『虹の影〜』らへんから入る太鼓?みたいなのがかっこいい。
『虹の影 落ちる場所 その国で眠りにつく 砂の雨 草の部屋 土のドア 風の船』
ロック・オペラ
封印されし神々へ
なんかねぇ、新しい(笑)なにって、中盤(闇の民たちと色々やるところ)を一気に歌で表現してくれるんですよ。親切だなぁって聞くたび思うよ。わたしとしては稚羽矢のソロがあって満足(笑)
『なぜでしょう? 何処へ行っても 争いがおこるの わたしは誰も殺したくない わたしは誰も憎みたくない 誰も誰も』(願より)
『わたしを呼ぶ あの声は誰 遠く遠く 心に響くように 遠く遠く どこかつれてくように』(醒より)
予兆 すげー不穏な感じ。最初はオルゴールみたいな音色で可愛らしく、そこから段々と………こえぇ。
きざんできざんで これ、激こわ。ちっさい子鹿役二人がとっても可愛らしく歌うのは…輝の御子を殺すための方法…ひえぇぇ。
『まずは手足を切り落とし 喉からすいーっと開いたら はらわた綺麗に出しましょう』
『きざんできざんで 食べちゃうの 細かくなったらもうおしまい』
PAO これも…なんだろう、お祭り的な賑やかな…手拍子と声が段々重なっていって…山場がきて…バン!みたいな(笑)
黄泉の国へ これも必聴ソング。泣けるんだわ、泣かせるんだわ、圧倒的な歌唱力で皆を蹴散らし、自らも美しく散る・・・そうあのお方・・・伊吹王ーーーー!ばか!こんなん歌われたら泣くわ!反則だ!
『もっと近くに わたしの元へ あなたの道照らすために わたしはここに いつもいるのだから』
『闇も光も 越えていこう 水の記憶 聞きながら 命も越えた世界で また逢いたい』
豊穣祝歌 たぶんフィナーレで流れた曲。「かがいの夜」の歌詞違うバージョン。
『めでたや結びの宴 鶴も舞いては 寿ぎ鳴ける』
『我らが里を見やれ 黄金に染まる 稲穂の波を この里の民を見やれ 花も隠れる ほまれの笑みを』
空ノ色〜Finale 聞くたびに、鳥肌がぞわぁってして、泣きたくなってしまう。大好きすぎる!メロディーも歌詞も何もかもがいい!声が重なる迫力ってすごいんだなって思う。愛。ひたすら、愛。
『繰り返す命が見た 風景のその向こう 空の色輝き 明日を繋いだだろう』
『叫ぶ声は枯れ果て 祈る手が震えても 心の声を聞こう 澄んだ空見えてくる』
『憎しみから 何も生まれない もう僕らは分かっているから』

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◎名場面集

ここから先は『引用』→『感想』の流れでお送りしまーす。

「情がないのではありません。憎むことより、愛することが好きなだけです」(ノベルス版P32より)

狭也と闇の一族が始めて対面したところで、輝は本当の両親で、仇を討つことを考えもせずに、輝を慕うことをなじられたところでの狭也の反論。素敵な平和主義。ミュージカル版はこういうところ(平和思想)をごり押ししてた印象。


 手をのばし、月代王は狭也のあごにふれ顔を上げさせた。輝の御子が自分の身にふれたことを知った狭也は、空が落ちてきたように仰天した。
「そなたは、そのようなならわしを飛びこえて、ここにいるのではなかったのか、水の乙女」
(中略)
「わたくしにあるのは今だけです。なにも飛びこえません。以前のことはしらないのです。わたくしは、ただの狭也です。御方様」
「そなたの強さはそれだ。そなたはやりなおすことができる」ほとんど憧れともとれる口調で王は言った。
(中略)
「わたしは、妻問いの宝をそなたにささげたいと言ったのだぞ。ただ部屋のちりをぬぐわせるために、はるかなまほろばへと呼んだと思っているのではあるまいな。こうして―――」
 月代王は狭也の手をとると、自身の手に重ねた。
「手と手をとった男女が、?歌の夜にとり交わすものが、飾り玉や櫛ばかりではないことくらいは、そなたも知っていると思ったが」(P76〜77)

うおおい月代ー!それはもう、あれじゃん、児童書でこれいいん?って流れやん!とツッコミたくなるのはわたしだけではないでしょう(笑)でもおいしすぎるので名場面集に淹れさせてください(笑)あとは、前半の、狭也の切ない思いにも注目。天上人は感覚がやっぱり違って、ほんとうの意味で分かり合えないのかもしれない、まほろばまではるばる来て、自分の姿に誰かを重ねなられて、寂しい気持ち。ううう狭也かわゆい。


「わたしはそなたに与えられるかぎりのものを与えたはずだ。大切にすると誓ったはずだ。なのに、何が不足でそのようにそむくのだ。そなたはいつも、そうやってわたしからそむいていく。いったいわたしの知らない何を、そなたは見ているのだ」
 狭也はあやうく泣くところだった。月代王が本心からそう言っているらしいことが切なかった。
「そむいてはいません。お慕いしています――きっとこれからも。でも――」首をふると、狭也はどうにもならない悲しみをこめて見つめた。
「あなたがご存じなく、わたしが一人で見つめているものとは、きっと、魂――生命のありかです。闇の者はそれを忘れてはならないのです。ですから、お許しください。あたしはここにはいられないのです」(P144)

いいねぇ切ないねえ、狭也と輝の決別。月代が、やっぱり狭也の後ろに今までの水の乙女を重ねてみてることに、自分でも気付いていないところがまたよい。慕われているはずなのに、与えようとしたその途端に手からすり抜けてしまう、不思議な乙女が、何度も何度も現れたら、そりゃ捕われるよねえ。うんうん。


「ひとつの望みをかなえようとしたら、ひとつ何かを失わなければならないのだ。きっと、だれにとってもそうなのだ」(P217)
やっと来ました稚羽矢。この前後の、松虫草の群生地を訪れるところも、かなりの名シーンだと思う!


「死ぬことを知らずに、真の恐れや、真の別れを、真の悲しみを心得ているはずがない。心と心のつながりや、気づかいや、いたわりを、理解できるはずがない。われわれはいつか死ぬ身であるからこそ、近くにいれば求めあい、遠くにあれば慕いあうのだ。そうではないのか?」
(中略)
「――だからといって、見返りがなければ酷くあたれるものでしょうか。情とは、そういうものではないと思います」
(中略)
「首飾りをつけるといい。翡翠の色は、きっとそなたによく似合う」(P223〜224)

うひょーいよいねぇ、科戸王と狭也の絡み!年の差万歳!ぶつかり合う二人なのに、科戸王が狭也に好意っつか、好いてるのがツボすぎる。んで、狭也がそっけないところもよい。頑張れ科戸王!


「わしは一足先に女神のもとへ休みに行くが、そなたたちのことを忘れはしないよ。またどこかで、別の形で会いたいと、稚羽矢にもそう伝えておくれ」(P272)

おわぁぁ伊吹王ーーーーー!と叫びたくなる名場面。泣けるんだよここが…狭也を絶望から救ってくれて、稚羽矢を鎮めた、おおきいおおきい王様。ちょー素敵です、伊吹王。


「あやまるって、何をすることだ?」
 困って彼を見た狭也は、稚羽矢が本当にわかっていないことに気がついた。
「ごめんなさいって言うことだけど――知らないの?」
「はじめてきく」
(中略)
 狭也は、今になってやっと輝の宮の巫女の教えがふに落ちたと思った。なぜ神の機嫌を損ねた巫女は、みずから命を絶つほど重い責を負わされるのか。それは、天つ神には許すという行為がないからなのだ。しくじったら、やりなおすことはできない。二度めはない。輝の御子にはそれが当然なのだ。
(中略)
「とても悪いことをしたと思っている――しなければどんなによかったかと思っていると、相手に言うことがあやまることよ。そして、この気もちに免じて、罰せずに、怒りをといてほしいとたのむことだわ。たしかに、とても虫のいいことではあるわ。でも、あたしたちのあいだでは、まちがっていたとさとったら、まずあやまるものなの……」(P285〜286)

ここ、何気に名シーンだと思うんだけどどうすか。失敗したらそれで終わりだから、許すことを知らないから、謝ることも知らない。それが輝の御子で。稚羽矢が人間らしくなった瞬間がここだったんだね…素敵…。